アンダーグラウンド音楽夜話

「ありきたりな音楽に飽きた」 そんな方のために、農作業の傍ら音楽の世界を掘り続けてきた主がニッチでディープなアーティストをジャンル問わずご紹介します

Clinton Fearon - 半世紀にわたるキャリアを築いてきたレゲエの王様【レゲエの名盤・おすすめアルバム】

 

レゲエって、特に日本においては、チャラいイメージがどうしてもついて回ってしまっていて、敬遠している人って結構いると思うんだよね。(あくまでも僕個人の印象だよ)

 

それから、レゲエは派生ジャンルが多い上に、世界各国に広まっていてアーティストの数も半端ないから、どこから聴き始めればいいか分からないって人も多いんじゃないかと思う。

 

そんなわけで、こちらの記事では、大人でも楽しめる上質なレゲエの名曲を数多く生み出してきた大御所クリントン・フィーロンについて紹介していきたいと思います。

(大御所の割には日本での知名度がいまいちだから、是非たくさんの人に聴いてもらいたい!)

 

ボブ・マーリーがレゲエの神様なら、クリントン・フィーロンはレゲエの王様

 

レゲエの代表的なアーティストといえば、最初にボブ・マーリーを思い浮かべる人は多いはず。

あと、バーニング・スピアやジミー・クリフもレゲエを語る上では外せないレジェンドたちだし、90年代~00年代でいえば、マキシ・プリーストや、ボブ・マーリーの実子ダミアン・マーリーなんかが有名どころだと思う。

 

僕はひとつのジャンルに偏るのがあまり好きじゃないから、世界各国のアーティストの作品を聴くようにしてるんだけど、一番好きなのはジャマイカ生まれのレゲエ。

きっかけはそれこそボブ・マーリーで、中学生のときに初めて「Kinky Raggae」っていう曲を聴いて、背骨に響くようなグルーヴ感の虜になったんだ。


Kinky Reggae

Kinky Reggae

  • provided courtesy of iTunes

 ☝これ弾きたさに親からもらった小遣いで最初のエレキベースを買って、壊れたおもちゃみたいにずーっとこの曲に合わせてベースを弾いてましたw

 

で、それ以来レゲエの沼にはまって完全に抜け出せなくなっちゃったんだけどw(なんせレゲエは隠れた名盤や名曲があまりにも多くて、発掘しても発掘してもキリがない!)、僕のレゲエ遍歴のなかで一番インパクトがあってカッコよかったのがクリントン・フィーロン。

はじめて聴いた時は、「そうそう、これこれ!こんなのをずっと聴きたかったんだよ!」って思わず小躍りしちゃったよね。

 

Mr. Want All

Mr. Want All

  • Clinton Fearon & Boogie Brown Band
  • レゲエ
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

☝その時の曲がこちらの「Mr. Want All」

フィーロンは元々ベーシストとしてキャリアをスタートさせているだけあって、ベースラインが最高にカッコイイんですわ。

 

それで、彼の何が一番凄いって、半世紀にも及ぶ長いキャリアのなかで、レゲエ史に残るような名作の数々をコンスタントに生み出し続けてきたところなんだよね。

 

これだけのキャリアを積み重ねてきたら途中でブランクもありそうなもんなんだけど、この人は1969年のデビュー以来2,3年おきにアルバムを発表し続けてきていて、しかもどれも完成度が非常に高いの

 

だから、ボブ・マーリーがレゲエを世界に広めた神様なら、フィーロンはレゲエ界で最も多くの名作を生み出した王様といってもいいんじゃないかと個人的には思うわけ。

 

キャリア序盤で大傑作アルバム「Trenchtown Mix Up」を発表

 

【輸入盤CD】GLADIATORS / TRENCH TOWN MIX UP

価格:1,790円
(2020/12/15 12:04時点)
感想(0件)

☝フィーロンは元々、The Gladiators っていう※ルーツ・ロック・レゲエのバンドに在籍していたんだけど、その時代に発表した「Trenchtown Mix Up」は今でも多くのレゲエリスナーに愛されている大名盤。

レゲエの旨味を全て凝縮したかのような濃い~内容だから是非聴いてみてほしい。

 

※単純に言えば昔のレゲエ。ラスタファリアニズムというジャマイカの宗教運動に強く影響を受けていて、ジャマイカ人の祖国であるエチオピアの皇帝ハイレ・セラシエ一世に対する忠誠や、西洋社会・政府当局からの圧迫への抵抗をうたった曲が多い。

Chatty Chatty Mouth (Live)

Chatty Chatty Mouth (Live)

  • グラディエイターズ
  • レゲエ
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

☝ルーツ・ロック・レゲエを聴くなら必ず押さえておきたいアルバム「Trenchtown Mix Up」収録曲の「Chatty Chatty Mouth」。

限られた予算と時間のなかで制作されたためか、ちょっと音に厚みが欠けるんだけど、そのシンプルさが逆に良い方向に作用した奇跡のような一枚。

 

フィーロンは、このアルバムに収録されている曲の多くを今でもライブで頻繁に演奏していて、「その後の自分の音楽性を決定づけたターニングポイントになった」とインタビューでも語っているんだ。

 

ソロ転向後はさらに上質なレゲエを量産

 

1987年、フィーロンは長年にわたるグラディエイターズでの活動に一旦終止符を打って、アメリカ・シアトルに移住。

1989年に現地で組んだバンドからアルバムをリリースするんだけど、素晴らしい内容にもかかわらず興行的にあまり振るわなくて、1992年に解散することに。

その2年後に、現在の音楽活動の母体となっているThe Boogie Brown Bandを結成。以来2020年現在に至るまで、合計13枚のアルバムを発表しているんだ。

 

ソロ転向後のフィーロンのサウンドは、若い頃に比べると暖かみや親しみやすさが増していて、基本的にどんなシーンにもマッチするから、例えばお店をやっている人なんかで「オシャレな音楽をかけたい」と思っているなら超おススメ。

それから、これから彼女との初ドライブデートを控えていて、車中でどんな音楽をかけたらいいか分からないそこのアナタ!(かなり限られているがw) 

安心してください。とりあえず☟のアルバムをかけておけば間違いないです。

 

☝ソロ転向後のアルバムで一番おススメなのは、2012年発表の「Heart and Soul」。

それまでの本格的なバンドサウンドからガラッと方向性を転換して、今作ではアコースティック楽器のみを使用。

シンプルなフレーズと質の高いコーラスが特徴的な、爽やかな気分にさせてくれる一枚に仕上がってます。

 

On the Other Side

On the Other Side

  • provided courtesy of iTunes

☝「Heart and Soul」収録曲「On the Other Side」。

終始ピースフルなサウンドで、聴いていてホッコリとした気持ちになること請け合い。

 

Goodness

Goodness

  • アーティスト:Fearon, Clinton
  • 発売日: 2014/06/24
  • メディア: CD
 

☝このほかに、2014年にリリースしたアルバム「Goodness」もおススメ。

 

www.youtube.com

☝特に収録曲「Poor Nana」の歌詞がレゲエのビジョンをモロに体現していて凄くカッコいいので、ここに一部の対訳文を載せておきます。

 

可哀そうなナナ 可哀そうなナナ

ナナは来る日も来る日も祈った 安い賃金で働きながら

来る日も来る日も祈った より良い方法を見つけるために

来る日も来る日も祈った 思いを込めて

彼女は言う

 

この狂った世界をなんとかして

収集がつかなくなってしまったこの世界を

この狂った世界をなんとかして

空っぽの魂で溢れたこの世界を

 

共に手を取れば 私たちは再び立ち上がれる

だけど離れ離れのままなら いつか滅びてしまう

あなたの命はみんなのもの なぜそれが理解できないの?

力を合わせて ドアの外へ悪魔を追い払いましょう

遠くへ 遠くへ 追い払いましょう

 

フィーロンの曲の歌詞には、世界平和を願う普遍的なフレーズがたくさん散りばめられていて、どれもグッとくるものばかり。歌詞に注目して聴いてみるのも◎。

 

上述のおススメアルバム2枚はもちろんのこと、他の作品も傑作揃いだから、是非手に取ってみてね。

 

それでは今日はこの辺で! Thank you for reading.