アンダーグラウンド音楽夜話

「ありきたりな音楽に飽きた」 そんな方のために、農作業の傍ら音楽の世界を掘り続けてきた主がニッチでディープなアーティストをジャンル問わずご紹介します

Ezra Collective - UKジャズシーンで今一番熱いバンド【UKジャズの名盤・おすすめアルバム】

 

近年、映画「セッション」や漫画「ブルー・ジャイアント」をはじめとするジャズを題材にした作品が国内外で注目を集めるようになって、まだまだ一般的には根強かった「古臭い音楽」とか、「大人だけが楽しむ音楽」といったジャズに対する旧来のイメージもだいぶ払拭されてきたように思う。

 

ニューオリンズから始まって今日に至るまで、様々なジャンル・楽器・演奏法を取り込みながら多様化してきたジャズだけど、近年は、イギリスの若者たちによって再定義され、新たな文化へと変貌を遂げつつあるんだ

 


Ezra Collective - Quest For Coin (Official Audio)

世界中の音楽ファンが注目の眼差しを向ける新しいジャズのスタイル「UKジャズ」。今回は、その中でもひときわ輝きを放つ若手バンド「エズラ・コレクティブ」について書いていくよ~!

 

世界を席巻するUKジャズ

 

なぜ今、UKジャズがこれほどの盛り上がりを見せているのか。

それは、学問全般において教育機会の乏しいイギリス国内のアフリカ・カリビア系移民や貧困層の女性に無償で音楽教育を施すことを目的に設立されたトゥモローズ・ウォリアーズっていうNPO(90年代初頭に設立)があるんだけど、ここで幼少期から英才教育を受けたミュージシャンたちが、今大人になって活躍し始めているからなんだよね。

もちろん、エズラ・コレクティブのメンバーもトゥモローズ・ウォリアーズの卒業生。

 

それで、エズラ・コレクティブに限らず、これはUKジャズ全体にいえることなんだけど、これまでのジャズと最も違う点はドラムのプレイスタイル

ドラムンベースダブステップ、グライム、ダンスホールレゲエといった今時のダンスミュージックのビートにインスパイアされたドラムラインを叩いているドラマーがたくさんいるんだ。これが新しくて凄く面白い。

 

ドラム ダンス

ドラム ダンス

  • モーゼズ ボイド
  • ジャズ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

↑UKジャズシーンの最重要ドラマーといわれているモーゼス・ボイドの「Drum Dance」。

 

あともうひとつ顕著な特徴は、アフリカン・カリビアンミュージックへの回帰

トゥモローズ・ウォリアーズの卒業生にはアフリカンとカリビアンが多いから、自然と祖国の音楽のテイストが各々の作品に色濃く反映されているんだよね。

 

UKジャズを因数分解すると、「イギリスの若者の音楽(ダンスミュージック)+アフリカン&カリビアンミュージック(原点的な音楽)をジャズで包括した」って感じになるかな。

だから、最近のダンスミュージックにあまり興味のない世代の人でも、従来のアメリカのジャズとか、※アフロビートとか、レゲエとかが好きなら、絶対ピンと来るものがあるはず。

ダンスミュージック好きの若者にとっても、UKジャズから入って、ジャズのルーツを辿っていく聴き方はいいかも。

 

※ファンクやジャズの流れを汲むナイジェリア発祥のアフリカ音楽

 

個人的にグッときたエズラ・コレクティブの曲

 

そんなわけで、最近の僕はといえば、UKジャズのプレイヤーやバンドのアルバムを片っ端から聴き漁っていてなかなか忙しい日々が続いているんだけどもw その中でも断トツにカッコよかったのがエズラ・コレクティブ。

 

メンバー全員バカテクで、しかもセンスが抜群に良くて、本当はひとりひとりの略歴について紹介したいところなんだけど(特にキーボードのジョー・アーモン・ジョーンズとドラムスのフェミ・コレオソは際立って凄い)、それだといつまで経っても記事を書き終えることができないのでw ここでは割愛します。

 

Almost Went Too Far

Almost Went Too Far

  • Joe Armon-Jones
  • ジャズ
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

 ☝エズラ・コレクティブ以外にも、ソロ活動や他のアーティストとのコラボなど多方面で活躍するジョー・アーモン・ジョーンズ。UKジャズシーンを牽引するキーボーディストとして注目されている。

 

エズラ・コレクティブは2019年春にメジャーデビューを果たしたばかりだから、2020年12月現在の時点だとスタジオアルバムはデビュー作の「You Can’t Steal My Joy」しかないんだけど、これが近年稀に見る名盤なので、マジでおススメ。

割とアップテンポな曲が多いんだけど、収録曲はどれもバラエティに富んでいて飽きがこないから何回でも聴けちゃうんだな~。

 

Shakara (feat. KOKOROKO)

Shakara (feat. KOKOROKO)

  • Ezra Collective
  • ジャズ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

↑僕が特に好きなのは、アフロビート創始者フェラ・クティの名曲「Shakara」のカヴァー。ゲストには、同じくUKジャズシーンで人気の高いアフロビートバンド「Kokoroko」。

この曲はフェラ・クティのなかで一番好きなんだけど、ぶっちゃけ本家よりこっちの方が完成度高いです。

 

What Am I to Do? (feat. Loyle Carner)

What Am I to Do? (feat. Loyle Carner)

  • Ezra Collective
  • ジャズ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

↑もうひとつのお気に入りは、ロンドン出身の人気ラッパー、ライル・カーナーをゲストに迎えた「What Am I To Do」。

ヒップホップの本場アメリカのラップスタイルとはまた違う、UKラップならではのクールなライミングと、エズラならではのキレのあるビートが楽しめるよ。

 

というわけで、UKジャズのおススメアーティスト・バンドはまだまだたくさんいるので、これから気が向いたら小出しで紹介していきたいと思います! 

エズラ・コレクティブはUKジャズ入門として最適なバンドだし、幅広いジャンルを踏襲していてとっつきやすいから、是非聞いてみていただたきたい。

 
それでは今日はこの辺で! See you in the next article.