アンダーグラウンド音楽夜話

「ありきたりな音楽に飽きた」 そんな方のために、農作業の傍ら音楽の世界を掘り続けてきた主がニッチでディープなアーティストをジャンル問わずご紹介します

【レゲエ入門編】メロディが極上なルーツ・レゲエ20選 前編【レゲエの名盤・おすすめアルバム】

 

皆さんはレゲエってお好きですか?

 

・ジャマイカ生まれの音楽

・陽気で明るい

ボブ・マーリーが有名

 

って感じのイメージが一般的かと思いますが、レゲエの歴史は、ヨーロッパ人によってアフリカ人がジャマイカに奴隷(サトウキビ畑での労働力)として連れてこられた大航海時代に遡ることができます。

 

「圧制によって苦しめられてきたジャマイカ人に平等な人権を!」

 

そんな気運が20世紀中盤から徐々に高まり、1970年代には自由と平和を象徴する音楽として世界中に広まりました。

 

そんな奥深くて面白いレゲエですが、

 

・興味はあるけど、どこから聴き始めていいか分からない

ボブ・マーリーは知ってるけど、他の代表的なアーティストが分からない

 

っていう方も多いんじゃないでしょうか?

 

かくいう僕も、レゲエを聴き始めた頃は、アーティストの数がめちゃくちゃ多いのでどこから聴き始めれば良いのか皆目見当がつかず、自分のお気に入りを探すのに、ずいぶん時間をかけて、色々なアルバムを片っ端から物色していたもんです。

 

そこでこの記事では、僕がこれまで聴いてきたなかで、どんな人にもとっつきやすいメロディの優れたレゲエアルバムを厳選してご紹介。

 

基本的にどれもレゲエを代表する名盤ばかりですが、中には世間にあまり知られていない隠れた傑作もあります。

 

ちなみに、年代やサブジャンルを問わず紹介すると膨大な数になってしまいキリがなくなるので、以下の項目に絞って選んでみました。

 

・レゲエ文化全盛期である60年代~80年代前半の間にデビューしたアーティストのアルバム

・王道のレゲエ(ルーツ・レゲエ)として認知されているアルバム(スカ、ダブ、クラブミュージック系の作品は除外)

・レゲエの生まれた国ジャマイカ出身のアーティストのアルバム

・一般的に、多くのレゲエリスナーからメロディが優れていると評価されているアルバム

 

この記事を読めばとりあえずレゲエの骨格は掴めると思うので、前編・中編・後編を一通り読んで、自分にしっくりくるアルバムを見つけてみてください!

 

※最初は10選で書くつもりでしたが、どうしてもあれこれ取りこぼしてしまうので20選にしました。他にも紹介したい優れたアルバムはまだまだたくさんあるのですが、とりあえずマストな作品だけを選んでみましたよ!

 

それでは行ってみましょう!

 

Bob Marley & The Wailers - Live!

 

ボブ・マーリーの人気が絶頂を迎え始めた70年代中盤に、ロンドンで行われたライブの模様を収めた一枚。

レゲエの旨味は全てこの一枚に詰まっていると言っても過言ではないだろう。

ボブ・マーリーはベスト盤から入る人が多いけど、やはり彼の醍醐味はライブパフォーマンスにあるのではないかと思う。

彼は基本的に、観客の顔を見ながら歌を歌わない。

目をつぶりながら顔に手を当て、祖国ジャマイカの同胞たちの苦しみや悲しみに思いを馳せながら、切実な歌詞を力強いメロディに乗せて歌うんだよね。

だから彼にとって歌とは、天に捧げる祈りそのものなんだと思う。

こちらのアルバムが発表される前年に、ウェイラーズの初期メンバーであるピーター・トッシュとバニー・ウェイラーは残念ながら脱退しているんだけど、バンドの演奏は相変わらずキレッキレ。

ボブ・マーリーの歌声も円熟の域に入ってるし、会場との一体感も圧巻の一言。

ジャンルを問わない「ライブアルバムの名盤〇選」みたいなランキングでも必ずと言っていいほど上位に入ってる大名盤なので、未聴の人はとりあえず聴くべし!

 

Bob Marley & The Wailers - Catch a Fire

 

ボブ・マーリーのスタジオアルバムに関していえば、後期より初期の方が断然おススメ。そこに異論のあるファンもたくさんいるとは思うけど、レゲエ特有の煙たさや不良っぽさが一番楽しめるのはこちらのデビューアルバムだと思う。

ま、目を細めながらガンジャを吸ってるボブ・マーリーの顔が載ったジャケットにだいぶ引っ張られた印象であることは間違いないんだがw

後期ももちろん最高なんだけど、ピースフルな世界観が全面に打ち出されているからか、初期の不良っぽい感じが好きな僕としてはちょっと退屈なんだよね。

ウェイラーズのデビューアルバムでもある本作には「Concrete Jungle」や「Kinky Raggae」といった隠れた名曲がたくさん入っていて、この背骨に響くようなグルーヴ感こそがウェイラーズの真骨頂だと個人的には思ってるので、リズムセクションにこだわりのある人には特に聴いてもらいたい。

 

The Gladiators - Trentchtown Mix Up

 

レゲエ音楽・文化の根幹を形成したと言っても過言ではないレーベル、スタジオ・ワン出身のザ・グラディエイターズが、1976年にメジャーレーべル(ヴァージン・レコード)に籍を移し発表したデビュー作にして代表作。

このアルバムの最大の特徴は低予算で作られていること。

メジャーと契約する前の貧乏時代に録音したので、ホーンセクションもなければ、キーボードもなし。

しかも録音にかけられる時間もほとんどなかったためか、音の作りが簡素でちょっと物足りない感じもするんだけど、そのシンプルさが逆に彼らの持ち味であるメロディの美しさを最大限に引き立てている。

特に収録曲の「Chatty Chatty Mouth」は、後にソロデビューするメンバーのクリントン・フィーロンが自身のライブでも頻繁に演奏している名曲中の名曲。

これだけを聴くためにトライする価値あり。

粗削りだけど若々しいパワーに満ちた名作なので、必聴ですよ!

☝リンクのアルバムは、「Trentchtown Mix Up」を含む計4枚のアルバムが全部聴けるお得なセット。

 

Clinton Fearon - Heart and Soul

 

先に紹介したザ・グラディエイターズのメンバーで、ダブ界の重鎮プロデューサー、リー・ペリーの下でも多数レコーディングを行ったクリントン・フィーロンがソロ転向後に発表した10枚目のアルバム。

それまでのアルバムでは本格的なバンドサウンドで録音してたんだけど、今作からは、アコースティックギター、アコースティックベース、コンガをはじめとするパーカッションなど、アコースティック楽器のみを使用。

クリントン・フィーロンといえばキャッチーで暖かみのあるメロディが最大の特徴で、僕個人としてはレゲエ界No.1のメロディメーカーなんじゃないかと。

特にこのアルバムはひとつひとつの曲のメロディの質が物凄く高く、彼のメロディメーカーとしての才能が爆発している印象。

無駄を徹底的に削ぎ落としたシンプルな演奏も相まって、何度も聴いても飽きがこない。

でもその割には日本での商品ページのレビュー数が極端に少なくて、僕的にはかなり過小評価されているレゲエアルバムのひとつだと思う。

う~ん、もったいない!

ピースフルなレゲエを求めている人はまずこのアルバムから入るべし!

誰が聴いても納得の、安定の名盤です。

 

Bunny Wailer - Black Heartman

 

 

Dream Land

Dream Land

  • バニー・ウェイラー
  • レゲエ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

ボブ・マーリー、ピーター・トッシュと共に、ウェイラーズの一役を担っていたレゲエ界の重要人物であるバニー・ウェイラー。

ウェイラーズの人気拡大に伴って所属レーベルに「白人にも理解できる音楽を作って世界で勝負しろ」と言われ、それに反発する形でグループを脱退。

ボブ・マーリーとピーター・トッシュは、その後それぞれが世界を股にかけてライブを行いレゲエを世界に広めたんだけど、バニー・ウェイラーは祖国ジャマイカに留まり、農業を行いながら地道な活動を続けたんだ。

こちらは彼が1976年に発表したソロ転向後の最初のアルバムで、タイトル通り「黒さ」が際立つ王道のレゲエサウンドを楽しめる。

ジャケットのおどろどろしい雰囲気とは似つかない暖かみのあるメロディが特徴で、ボブ・マーリーのような切実さは感じられないが、静かに語りかけるような歌い方が歌詞に説得力を持たせている。

特に収録曲の「Dream Land」は後続のレゲエミュージシャンたちに大きな影響を与え、※ラスタファリニズムの思想をストレートに表現したマスターピースとして多くの人に愛されている。

※かつてのエチオピア皇帝ハイレ=セラシエを神として信仰し、アフリカ回帰を唱えるジャマイカの政治・宗教運動

その他にもレゲエらしさ全開の名曲ばかりなので、是非ともチェックしてほしい一枚だ。

 

Peter Tosh - Legalize It

 

こちらは、ピーター・トッシュがウェイラーズを脱退した後の1976年に発表した初のソロアルバム。

マリファナ畑のど真ん中で、「なんか文句あんのか」とでも言いたげな目の据わった表情でガンジャをキメているピーター・トッシュの姿がインパクト大。

アルバムタイトルの「Legalize It」には「マリファナ(ここでいうItはマリファナを指している)を合法化しろ」というメッセージが込められている。

実のところ、ピーター・トッシュはローリング・ストーンズと交流があって、レゲエの演奏法を教えたりするほど親密な仲だった。

後にローリング・ストーンズのレーベルからアルバムを出したことで他ジャンルのミュージシャンやリスナーからも大きな注目を集め、たくさんの国でライブを行いレゲエを世界に広めたんだ。

また、黒人の平等な権利の獲得や核の廃絶を訴えたりと、政治的な姿勢を貫き通したことでも有名。

1987年、不運なことにも強盗に殺害され43歳の若さでこの世を去ったが、彼が残した傑作の数々は今でもたくさんの人に愛されている。

「Legalize It」は強いメッセージ性を持つアルバムだが、収録曲はどれもゆったりとしたテンポで、終始リラックスした雰囲気に包まれていてたまらなく心地良い。

こちらもレゲエを語る上では外せない名盤なので、是非ご一聴を。

 

中編に続く(現在執筆中)