Acid Mothers Temple - 日本のサイケロックといえばこのバンド! 【ライブレポート / サイケロックの名盤・おすすめアルバム】
「宇宙空間を漂ってみたい」
「無重力を体験してみたい」
これって、人間なら誰しもが一度は頭に思い浮かべたことのある、根源的な憧れだと思うんだよね。
でも当然ながら、(現時点では)僕たちは宇宙飛行士にでもならない限りこの願いを叶えることはできないじゃない?
そこで、まるで宇宙に行ったかのような気分になれる、浮遊感のある音楽はないかな~と思って学生時代にCD屋巡りをしてたら見つけたのが、今回ご紹介する日本の古参※サイケデリックロックバンド「Acid Mothers Temple」。
※幻想的でトリップ感のあるロックのこと。
Acid Mothers Temple & the Melting Paraiso U.F.O. / Electric Dream Ecstasy
☝まずは、冒頭の数分だけでいいので、こちらの公式音源を聴いてみてください(ヘッドホンorイヤホン推奨)
いかがだろう?
このぶっ飛んだ宇宙感、あなたには伝わっただろうか。
アシッドマザーは、さっき書いたように日本のバンドではあるんだけど、どっちかというと海外の人に人気が高くて、カルト的なファンが多くいることで有名なんだ。
で、実は僕、20代前半の頃にカナダ(トロント)の大学に通ってたんだけど、2009年の冬に彼らが北米ツアーでトロント市内のライブハウスに来たから、友達と一緒に見に行ったんだよね。
ライブの感想を一言で言うならね、まさに宇宙旅行を疑似体験してる感じだった。
ライブには行けなくとも、是非このトリップ感を皆さんにも味わってもらいたいので、この記事では、ライブレポをメインに彼らの魅力について語っていきたいと思います!
風貌もサウンドも最高にイカしてます
まずこのバンドはね、サウンドももちろんカッコいいんだけど、なんといってもメンバーの風貌が最高なの。
☝公式サイトの写真ページ。ここを見ると大体の雰囲気が分かります。
数年前にメンバーチェンジしてるから、僕が見に行ったときのメンバーの中で今はいない人もいるんだけど(「思い出波止場」でもプレイしてるベースの津山さんと、ドラムスの志村さん)、当時見に行った時は全員年配で(たぶん50代前半くらいかな)、最初に目を引いたのは、肩から背中にかけて伸びたボッサボサの長髪。
あとヒゲも伸ばし放題だし、服装はみんなくたびれたワークパンツかボロボロのジーパンにダルダルのネルシャツかパーカーで、津山さんに至っては、真冬にもかかわらず、足元が100均で売ってるような安っぽいゴムサンダルっていうね。
みんな仙人みたいな感じで悟りを開いてる感満載で、見た目のインパクトからしてかなりヤバい(良い意味だよw)感じがプンプン漂ってるんだよね。
曲尺はだいたいどの曲も長くて、1曲で15分強なんてのもザラ。
冒頭で紹介した音源を聴いてもらっても分かるように、
ソリッドでタイトなドラムスに、フレットの上から下までウネウネ動き回るベースとスペーシーなシンセサイザーが乗っかってて、それに空間系のエフェクトをかけたクリーンなプレイとディストーション全開のノイジーなプレイを縦横無尽に行き来するギターが加わっているのが基本スタイル。
☝彼らの代表曲「Pink Lady Lemonade」。
ライブに行ったときのお話し
僕がライブ会場に行ったときに一番驚いたのは、メンバー全員が、入り口で横一列に座って物販をしてたことかなw やる気なさそうに「Hello~」とか言いながらTシャツとかポスターとか売ってんの。
僕も友達も「うお!いきなりいた!」みたいになってw お客さんに対しても凄いぶっきらぼうで、全然会話が続かない。
それまでも色々なバンドやアーテイストのライブに行ってたけど、そんなの初めて見たからとにかく驚いちゃって。と同時に、ちょっと不安になったんだよね。
「この人たち大丈夫かな~? やる気あんのかな~?」って。
ただ、ライブが始まった瞬間、そんな杞憂は一気に吹き飛んだ。
やっぱりコアなサイケロックマニアの間で最強のライブバンドと評されているだけあって、演奏が始まると、物販にいたときの気だるい感じとは打って変わって、みんな顔つきが急にシュッと男前になって、バシッと音を決めてくるんだよね。
特にギターの河端さんのぶっ飛びっぷりが半端なくて、テンションが上がってくると、ギターの弦を掻きむしりながら頭を振り乱したりするんだけど、それがとにかく気持ちよさそうで、見ているこっちも気持ちよかった。
あんな気持ちよさそうにギターをプレイする人は他に思い当たらない。
たぶん、河端さんはギターを使って宇宙と交信してるんだろうなw そうとしか思えない。
で、最後の曲を演奏し終わった後、なぜか分からないけど河端さんがギターのヘッドを天井の照明のケーブルにぶら下げ出してw
音も鳴りっぱなしでプラーンってぶら下がってるのに、他のメンバーも特に気にすることもなく、そのまま放置してステージを去っていったんだ。
それで、しばらくしてお客さんの大半が帰った後、河端さんがスゴスゴと脚立を持ってステージに戻ってきて、ぶらさがったままのギターを脚立に登って取って、大事そうに抱えながらギターケースにしまってんのw それがとにかく可愛くてしょうがなかった。
あと印象深かったのが、シンセサイザーの東さん。
ライブが終わった後、ツアーのポスターを買ってメンバーの皆さんにサインしてもらったんだけど、隣にいた友達が東さんに「なんで音楽やってるんですか?」って聞いたんだ。(いきなりそんなこと聞くのもどうかと思うけどw)
そしたら、しばらくの間「う~ん」って言いながら考え込んだ後、一言「分かんない」ってボソリ。
僕はそれを聞いてえらく感動した。「なんてカッケーおっさんなんだ」って。
その頃、鬱っぽくなっていた僕は大学に行けない日が続いていて、「自分はこれから何をしたいんだろう?」って悶々と自問自答していたんだけど、東さんのこの一言で目の前の霧が晴れたような気がしたんだ。
「そうか、何をするにも別に高尚な理由なんか必要なくて、ただただ自分の好きなことをやればいいんだ」って。
おススメのアルバム
☝そんなイカしたアシッドマザーの一番のおススメアルバムは、2020年12月現在の時点での最新作「Reverse of Rebirth Reprise」。
凄い数のアルバムを出してるから僕も全部は聞けてないんだけど、このアルバムは曲が粒ぞろいだしミキシングもバランス良いんで、ここから聴き始めるのがいいかなと。
是非、彼らのアルバムという宇宙船に乗って、宇宙への小旅行を楽しんでほしい!
それでは今日はこのへんで! Seen you in the next article.